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ねこと眠る箱庭

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くもりクロス

No.1 夢と現実-2

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現代の感覚で言えば、夢に出てくる異性は、深層心理で自分の好きな人らしい。
だけど古文などが言うには、
夢に出てくる人は、自分を恋慕って、わざわざ夢を渡って会いにくるらしい。
この場合、
僕は彼女にさほどの興味も面識もないから、
深層心理がかなりぶっとんでいない限り、僕の恋情ではなく。
かといって彼女もきっと僕のことなんてほとんど知らないだろうから、
彼女の恋情の線も薄い。

うつらうつらと、
まどろむ僕の頭の中は、
謝る『彼女』に殺されるばかり。

「寝不足?」

世間話レベルの音程で、横の席の椎名が声をかけてくる。
椎名は、クラスで1、2を争う、モテるタイプの女子だ。
なにより顔の造りが可愛いし、おしゃれだし、華奢な割にラインは女らしいし、男と話す術を熟知している。
なんて、思わず高梨との違いを比べてみたりしている自分が笑えて、僕は机につっぷす。

「寝てはいるけど、夢見が悪い」
「へー。北原、夢なんて見るんだ?」
「それはどういう意味だろうか?」
「基本的に、熟睡系なのかと思った。授業中もよく寝てるし」

くすくすと、グロスをさりげないほどに薄く塗った唇で笑う。

「成長期だからね」
「寝ても寝ても寝たりないって?」
「そういうこと」
「ふーん。で、夢ってどんな?」
「…殺される、夢」

きょとん、と、大きめの丸い瞳が揺れる。

「殺されるんだ?北原、マゾだね」

なんとも的外れな返答だったが、なんだかおかしくて僕は笑う。

「マゾか。かもな」
「やだー。え、誰に殺されんの?毎晩?」
「そ、毎晩。見知らぬ女に。ぎゅーっとね」

僕はサービス精神で、首をしめられる真似をしてみせる。
やだもー、こわーいっ、と明らかに面白がって椎名が笑った。

「恨まれてんじゃないの?北原、見目はまぁまぁ良いもんね」
「褒め言葉として受け取るよ」

再び、眠りに入ろうとしてずらした僕の視線の端で、
ちらりと、高梨がこちらを向いているような気がしたのは、
都合の良い錯覚だったのかもしれない。



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