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ねこと眠る箱庭

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くもりクロス

No.2 印象-2

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…夢って、なに?
と、聞きたかったけれど。
彼はひとつあくびをすると、そのままとろんと瞳を閉じて、再び机につっぷしてしまった。

「本当、良く寝るよなぁ」

間淵君が苦笑いをする。椎名さんがきゃらきゃらと笑う。

「…溶けないの、かなぁ?」

思わずつぶやいた私の声を、正確に聞き取って、間淵君がさらに笑った。

「溶ける?なにが?こいつが?」
「え、あ、いや。えと。寝すぎると、目が溶けるっていわない?」
「あー。そいうこと。いや、もう溶けてんじゃね?」
「え?」
「だっていっつも、こう、閉じそうな目してんじゃん」

あまり顔のつくりを思い出せなくて私は首を傾げたが、
あぁわかるーと、椎名さんが楽しそうに話し出す。

「アンニュイなんだよねー。そこが人気らしいよー」
「女の好みはわかんね」

不公平だよなと、間淵君の手が、北原君の髪をぐしゃりとつぶした。
指の間からもれるその髪が本当に気持ちよさそうで、
触ってみたいなぁと、もう一度思う。
でも仲良くもない私が、そんな行動に出られるわけもなく、
じゃあね、と口の中でつぶやいてから、その場から逃げ出すように離れた。

教室のざわめきが、
私はあまり得意じゃない。
高い声、低い声、笑い声、話し声。
単調で煩雑な、ノイズ交じりのリズム。
なんだか体中が落ち着かなくて、肩の辺りがざわざわとする。
なんて、そんなこと、誰にも言ったことは、ないけれど。

チャイムに促されるように、席について、窓の外を眺める。
突き抜けるほどの青い空は、光がまぶしく、私は目を細めた。
ふと、視線を感じたような気がして、そっと振り返る。
まさにといったタイミングで、その瞬間、北原君の頭が持ち上がるのが見えた。
ちらり、と、覗いた前髪越しの瞳に驚いて、私は何気ない風を装いながらまた窓を見た。

どうして、彼は、
私をみているのだろう…?

空はあいかわらず暑くまばゆく、
まぶたの裏に色とりどりの残像を残した。




その夜。
私は、夢を見た。

真っ青な布の上に、転がっている、北原君の夢。
茶色い髪が、鮮やかに広がり。
うつぶせなのだけれど、腕の上におかれた頭は傾いていて、
気持ちよさそうな閉じた左まぶたと、やわらかそうな頬が、見える。
私は、
少しも怯えることなく近づいて、
そんな彼の髪をなでる。

何度も何度も、
まるでいとおしいもののように、
その気持ちの良い髪を、手で、とかす。

そんな、不思議な、夢を見た。




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