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ねこと眠る箱庭

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赤いほうき星と黒の呪文

Story4 逆さ星 (前編)

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私と彼女は一卵性双生児というやつで。
顔も形もなにもかもがそっくりで。
まるで鏡でも見ているようだねと彼女はそれを喜ぶけれど、
私はそんなにうれしくはない。

「ねえねえ、聞いてる?」

とても形の良い唇をぷっと膨らませて彼女がむくれる。
(つまりそれは私も同じ表情ができるということだけど)

「聞いてるよ」
「ほら、あの星。赤くて綺麗じゃない?」
「星って赤くないでしょう普通。火星とかじゃないの?」
「星と惑星の違い?名前だけじゃない違いなんて。星は星だよ」

そういう無神経なくくりが嫌いなんだけどな、と私は左眉を無言であげる。
おんなじ顔のおんなじパジャマを着た二人の少女が、
家の窓から身を乗り出している光景は相当気持ちの悪いものだろうな、
と、私は彼女を振り返る。
彼女は、そんな私を不思議そうに見てから、あ、と再度窓の外を指差した。

「ほらほら。あの赤い星。落ちてきそう」
「どんな感じよそれ」
「ね、流れたら願い事唱えようよ」
「えー。やだよ。信じてないもん」
「いいから、いいから」

不服そうに見上げた瞬間、本当にその赤い星が落ちてきた。
とっさに私は、彼女を振り返り、心を決めて星に願った。
赤い星は不思議な軌道を描いた。
落ちてくるのかと思ったのに、落ちるというよりは消えるというか、
すっと綺麗な尾をたてて走り出したその刹那、
何かにぶつかったかのように一瞬で闇夜に消えてしまった。

「願った?」

きらきらと彼女が私に問いかける。

「願った」

ちょっと不満げに私は答える。

「なんて願い事した?」
「そっちは?」
「私は、二人で一緒にいられますようにって」
「ふーん。私も似たようなもんかな」

彼女がうれしそうに笑う。
星が消滅してしまった理由が、私には、わかった気がした。
だって、私の願い事は、

彼女と別々になりたい、

だったのだから。
彼女はきっと想像もしないだろうけど。




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