FC2ブログ

ねこと眠る箱庭

スポンサー広告

スポンサーサイト

 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit
   

かけら  ~物語未満~

雪の跡

   Next


白い肌が綺麗だね、と言われた。

私に触れてくれる、その指が、その手が、その唇が。
私だけを特別に愛していると言っているように思えて。
その行為を支えに私は愛されていると思っていた。
何も知らなかった私は、
その行為の真偽に溺れていて、その行為の有無にすがっていた。


だから。
あなたが次第に触れてくれなくなって。
それが当然のように続いていく日々が進むうちに。
私は、
その行為の善悪を、見失った。



    ----1----



「え、なに?シロってば彼氏いたんだ?」

飲むかと差し出されたスポーツドリンクのボトルを、
受け取ろうとした私の左手を、おもむろに掴んでハヤトが驚く。

「え、なんで?」
「だって。指輪。してんじゃん」

左手の小指に、ゆるくはまった銀色のリング。熱い体温に逆らうようにそれはひどく冷たい。

「これ、ピンキーリングなんだけど」
「え?あ、そっか。じゃあ彼氏にもらったとかじゃないんだ?」
「うん。違う。自分で買ったの」
「なんだぁ、びっくりした」
「でも」

あいている右手で、早々にペットボトルを奪取する。
ひんやりと、乾いた喉が潤った。

「彼氏はいるよ」

げ。という顔をハヤトがしたのが見えた。

「…なに、その反応」
「え、あー。いや、なんていうか、さ」

まじまじとまっすぐに見上げてみせたら、なんともバツの悪そうな苦笑が頬に上って、それから、照れ笑いのようなちょっとしまりのない表情にくずれた。

「面倒くさいことになったら、困るじゃん?」

ハヤトのそういうあけすけなところが、私は好きだった。
だから、笑う。

「なるわけないでしょ」

へらり、と、ハヤトがつられて笑みを濃くする。

「なんで?」
「だって別に私、悪いことは、してないもん」

垂れがちの目が、途端に、きょとんと丸くなって。
私は、おかしくて、声を立てて笑った。




 Next
スポンサーサイト



   

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。