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ねこと眠る箱庭

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*Edit
   

彩箱   ~色が題のSS~

青 (後)

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『なぁに?』
『一応、優しさとして聞いておくけれど』
『うん』
『なんで自殺?』

あぁ、と、何かをかみつぶすような声を出して彼女は眉をひそめる。

『それは秘密』
『あ、そう』
『本当に信じてないねぇ』

溜息まじりに笑う。

『私は死んで、鳥になったのにさ』
『…鳥、ねぇ』

羽でも生えたのかよ、と、僕は呆れた。
呆れながら、色々なことを考えていた。

『鳥にさ』

僕の言葉を待っていたらしい彼女は、僕がもらした小さな呟きにも律儀に反応して、ん?と首を傾げた。

『万が一、鳥になんてなったんなら。今、僕が、君を好きだと告白したところで、恋人にはなれないね』

えっ?と聞き返す彼女を、僕はみつめる。
まっすぐ。
まっすぐ。
透過する。

『僕は、ふられたのかな?』

意地悪のつもりで言葉を重ねたら、彼女が笑った。
ひどく、おかしそうに。

『そうだね。ふってやったね』

だから僕も笑う。

『そりゃ、残念だ』

風が、僕の髪を揺らした。
彼女が、そんな僕を見ていた。

『ありがとね』

そう言って、
そして。



彼女は飛び降りた。

白い羽を、
唐突に背中に広げて。

僕は見ていた。
何の変哲もない学校の屋上で。
鳥になった彼女を。
青い空に溶けていくその姿を。


一人残された僕は、手元に残ったカフェオレに、口をつける。
ひどく、冷たい感触が、僕の体を通り抜けた。


     ~『青』 end




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