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ねこと眠る箱庭

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かけら  ~物語未満~

うたたね

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つないでいた右手の先が、
ふと溶けたような気がして目が覚めた。

眠い目を、うすぼんやりとあけて、その繋がった先を見る。

手は、きちんとつながったままだった。
その先に続く体も見える。
私より高い温度も感じる。
息も、震える空気も、指先も。そこに、在って。


だから、そう、溶けていたのは、私のほう。


視覚でも触覚でもなく、漠然としたなにかで、なくなっていたのは私なのだと、気付いた。
つないだ右手だけが残っていて、他は、もうほとんど失われていた。

とろとろと。
薄く、
柔らかく、
消えていく。

私の存在なんて、この右手分しかないのだと。
そこしか、ないのだと。


ふいに不安に駆られて、
握り締めようとした瞬間、
ふわりと、
寝返りを打つのが見えて。
ふいに、手が、


はなれる。


あぁ。


なくなってしまう。


なんて呆気なく。
なんて簡単に。


僅かに掠めた彼の小指の温度だけを残して。
私のすべてが。
溶けた音がした。



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